あじさい
たちばなまこと


青色と赤紫色
重たい宙をかいて 混ざり合おうとする
あの思い出
あの肌の
手をつないで
たよりなく握り会って
こくこくと
室温の仕業の汗をかく
夜は常に進み
太陽はそこにあるだけで
あじさいの涙について 見ないふりをしている


すっぱい涙
しみこんだタオル
今日も曇りで乾かない
その青色で洗われたいこころ
すがりたい誰かがわからない
露が降りるとき 土のうるおいの中に
絹の根を伸ばして
深い寝息 血の涼に
ふれたいと願うのだけれど
月の匂いがする 地球の奥で
手をつないで
たよりなく指をからめて
便りのない遠くの雨を
飲みたいとささやくけれど
遠くまで歩むためには
白い血が必要なのに
受け取る薬はゆるやかに
白を 壊してしまう


やさしさ 愛 光
翳りの上に並べてみた
色は境目をぼかして
美しく現実を語った
このままずっと
怖くない水彩画を見てゆきたいと
指の節に強さをこめる
ふたりは何かを知っている


すっぱい涙
抱きしめたタオル
今日も曇りで乾かない


自由詩 あじさい Copyright たちばなまこと 2007-06-02 01:16:33
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