バナナ
大覚アキラ

やりきれない憂鬱に
身体ごと飲み込まれそうなときは
とにかくバナナを食べる
何も考えずに食べる

午後のダイニングテーブルの上に
少し茶色く変色したバナナの皮が
脱ぎ捨てられた下着みたいに
いくつも積み重なっていく

やがて
ダイニングテーブルの上は
甘い香りの地雷原になる
ここにはひまわりが似合いそうだ

ひまわり咲き乱れる
乾いた真夏の丘で
茂みの陰にしゃがみこんで喘ぎながら
ライフルに装弾する兵士を想像する

彼にもバナナを
神様お願いです
どうか
彼にもバナナを


自由詩 バナナ Copyright 大覚アキラ 2007-05-31 12:40:58
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