杉林
ふるる
遠くにそびえる
黒い山々
深い緑の杉林に入る
つんとする匂い
冷気が身体を包む
見上げても空は少なく
灰色で
まるで薄荷の中にいるように
涼しい
林の中では遠くまでは見えないのに
優しいせせらぎは聞こえないのに
水の気配は側に
いつも水の気配はある
自分がほとんど水なのだ
そんなことを思い出す
初夏の杉林
午前十時三分
湿る靴の
紐は半ば
解けて
いる
自由詩
杉林
Copyright
ふるる
2007-05-31 09:13:49
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