生きる為に
智鶴

幾つもの切り刻まれた命を抱え
涙を流す彼らなら
この夜も癒してくれるのだろうか
気の遠くなる程の
永い永い地鳴りの中で

痛みと悲しみで冷え切った夜空に輝く
たった一つの星も消してしまう
冷たく哀しい争い

幻想の前に何を殺すのかも
分からない過去など
独りに震える貴方の涙一つで
消えてしまうのに

戦い生き延びた戦士は俯いて
錆付いた剣を杖にして
何を見て何を聞いて
そして何を殺した?

(悲痛な叫びは聞き飽きたとでも言うの?)

生きる為に踏み付けた美しさは
今、何処で泣いているの?
過ちに嘆く彼の涙一つで
蘇るのに

空から滴る冷たい涙に打たれた
傷ついた戦士達は
折れた剣など、もう手放してもいい
生きる為に


自由詩 生きる為に Copyright 智鶴 2007-05-31 00:15:09
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