うつろいごと
雨宮 之人

いったいここで私は何をしているんだろう

少し背伸びしてみては
押しつぶされて
流されて
そうしていつの間にか消えて
こんな思いをしてまで詰め込みたいものなど
この私にあるもんか
ここにだってあるもんか

世界はどうしようもなくがらんどうなのだと
ある日に思い知ったばかりなのに
こうやってまた詰め込もうとしている
本当にどうしようもなく
私だってがらんどうではないか

そうだ、いつまで経とうと愚かなままだ
悟った気になって
要約した気になって
それで満たされた気になって
そんなのまだ
一センチだって埋まっちゃいないのに

馬鹿ばっかりだ
ここもそこも馬鹿ばっかりだ
わかっちゃいない
わかるはずがない


書き終わって押されるボタンが例えば
核のボタンだったらどうする
それと同じことをしているのだ私たちは

新しいグラウンドゼロをいくつもこさえながら
涼しい顔で、自分は生きている心地を得るのか

それは違うぞ、戦争なのだこれは
何との、というのはそれぞれだが
戦争なのだ
私たちが生命の手触りを感じるということは


自由詩 うつろいごと Copyright 雨宮 之人 2007-05-30 02:57:16
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