夕暮れ煎餅
服部 剛
ある日の
些細
(
ささい
)
な出来事で
仲良しだった
AさんはBさんの陰口を
BさんはAさんの陰口を
別々にぼくの耳は聞いていた
夕暮れの
空気のはりつめた部屋に
AさんとBさんとぼくといて
そっぽを向いた
ふたりの間に立つぼくは
窓外に沈む夕陽を眺めつつ
手にした
煎餅
(
せんべい
)
を3っつに割り
右手のばしてAさんに
左手をのばしBさんに
「 おいしいよ 」って
手渡した
ぱりり
ぽりり
「 おいしいね 」
夕陽のひかりの射す部屋で
頬の赤らむふたりの顔が、
こちらを向いた。
自由詩
夕暮れ煎餅
Copyright
服部 剛
2007-05-29 21:56:10
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