風想
彌月
過ぎ去りし
思い出を
風が運ぶ
急ぎ足の
春を乗せて
‐
斜影に射した
春の日差しが
匂い立つ華の香りを
引き立てる
‐
田の畦に咲く
タンポポの
黄色に
命輝き
‐
まだ白い山々に
神の姿を映す
‐
雪解けの冷たい水が
加熱した心を癒し
‐
まだ白い山頂から
運ばれる風が
火照る顔を癒す
‐
風がそっと
しかし確かに
背中を押す
‐
前を見ろと
前に進めと
‐
命のせせらぎ
鼓動の囁き
‐
溢れる日差しに
凍った時間が
動き出す
‐
‐
‐
心の奥にある
生きる力を
風が舞い上げる
急ぎ足の
春を乗せて
彌月and翁