君を愛することによって
はじめ
僕は毎週土曜日に君の家に行くことになった
交通手段はバス 季節は感じない
途方もないほどの時間をかけてバス停に着く
それから記憶にきちんと刻まれた君の家の道のりを行く
君の家に着くと 君は日溜まりの中で待っている
僕は永遠の午前を感じる
白い光が満ちていて 険しい山脈に家は囲まれている
僕は君とセックスをする
ここは天国なのだろうか 僕は死んでしまってもいいと思う
闇が急に訪れて 雷が鳴り雨嵐が吹き荒れる
しかし家の中は平穏に包まれている
僕は蝋燭の炎に照らされながら君と心を静かに重ねる
そして君と暗闇の中で孤独を感じる
静かに雨が降っていて 地面はドロドロになり山脈は溶ける
緩んだ地平線が広がっている
突然晴れて 赤い土がひび割れて広がっている
僕達は絶えず変化する世界の諦観者だ
飲むヨーグルトの空が地上に垂れてくる
緑色の雨も カメレオンの姿も 冷えた心の僕達には不思議に思える
オレンジ色の柑橘類の海にも真っ青なサーファーと鯨が存在する
僕は外的な圧力によって切羽詰まられている
不条理と難解な数式が僕の体と脳をそれぞれ支配する
僕は君とエスカレーターに乗って君の街のデパートの4階の本屋へ行く
僕は人に賞賛されるべき人間ではない 体が拒絶しているのだ
君は僕の上に乗ってセックスをする
君は快楽を感じ 愛を育む
分かりやすいようにセックスは気持ち良いのだ
僕は今まで自分を抑えていた
君を僕のストレスの発散の道具にしたいと一瞬思った
感情が昂ぶっているせいだ
いつまで経ってもエスカレーターは辿り着かない
君と手を繋いだままガラス張りの壁を見ているだけだ
君の家を雨が打っているのが懐かしい
僕は今まで何を書いてきた?
歴史の瞬間に立ち会うのかそれとも君を愛するのか
僕には分からない