バス停
Tsu-Yo
庭の土を耕して
人差し指で穴を掘り
ヒマワリの種を植えたのが五月
まいにち
土の湿り具合に神経を尖らせ
やがて
いくつかの芽が出ると
お気に入りの芽を一つ残して
あとは全部引っこ抜いた
大きなヒマワリになるよう
適当に肥料をまき
雨が降り続ける六月には
部屋の中からそっと見守った
おなじ時間を繰り返す日々のなかで
ヒマワリだけが変わっていった
大きく 大きく 大きく
ヒマワリが僕の背丈を超えたのは
八月のはじめ
二本足で立ったライオンのような
ヒマワリに
茎が折れてしまわないよう添え木をして
「アステカ行き」と書いたプレートを掛けると
真夏のバス停ができあがった
おなじ時間を繰り返す日々のなかで
今日もアリたちと一緒に
バスが来るのをじっと待っている