屋根のない明るい部屋で
氷水蒸流
空と僕らには距離がなかった
窓は開かれていた
白いテーブルの上に
幾千の微細動
まるでナイロンの弦を束ねた
世界のつけ根はたなびき
差し入れる指は風に同調する
触れた先からほろほろと物語は散り落ち
床には虹が横たえ
ゆったりと渦巻く薄い光を呼吸しながら
赤から青へ 紫から青へ
なだらかに延びるスロープを演じている
青は果てしなく空で
両脇で物語たちは交わり
出来の悪いコピーを繁殖する
しなやかな放物線を描き終えると
神妙な眼差しを落として
閉じた手の中で賽を振り
互いの色を振り分けている
青には7が置かれた
「ほわあああああ」
いつものように
運命に愛されたやつが
転がる賽を追いかけていく
落ちていくトムとジェリー
お決まりのシーン
みんなクスクス笑って
いっせいに白い風船を飛ばした
青い空に
降りかかる精子
できるだけいい加減に星を結ぶと
それを忘れた
そしてまた神妙なルーチンにもどる
終わりを探すことなく
真剣に遊んでいた
いつまでも飽きることはなく
空と僕らには距離がなかった
この文書は以下の文書グループに登録されています。
やわいの