寄り道せかい
まきび

打ち上げられた
貝の中に
真珠ではなく
小宇宙が
波の形を
ひびかせて
おもしろげに
反芻している


波打ち際に
アメフラシが
空の青を受けても
ちっとも色を変えずに
お気に入りの貝に
そっぽを向かれたのか
ずっと海岸に
寄り道している


朝の光が
塩と水を混ぜ合わせて
魚達は海面をつつき
いえなかった言葉を
探しているのか
うろうろと
世界を泳ぎ回っている


過ぎてゆく世界は
あいまいにぼやけ
やがて海の形は
朽ちてゆく
それでも生きる



自由詩 寄り道せかい Copyright まきび 2007-05-26 16:29:11
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