過去に泣かれる現在の僕と未来
酸素の枷

髪の毛を染めた
別に気分転換するほど
落ち込んでいた訳じゃないけど

泣いてたあの子に
好きだと言ったから
何となく

公園は思っていたよりも広い
誰が 何処で 何をしていようが
保護者の目だって簡単に欺ける

ただ あんな真ん中で泣かれたら
保護者の目にだって簡単に見つかってしまう


だから 好きだと言った


面倒臭いけど手っ取り早い
ほら しゃがんでないで立ち上がって

泣いてた子は目を擦りながら
肩をヒクつかせて
口元が笑っている


全く この子はこういう子だ


滑り台へと走り出した
全力疾走
僕の年を考えてくれないかなぁ


いやいや まだまだ僕も若いはず


泣いてた子は滑り台の階段を駆け上がる
僕は下から見上げるだけ


何かを取り戻したいとは思う


元気な音が耳に響いている
いや 確かに好きなんだよ
泣いてた子は何処に行くんだろう?

駆け上がる音は段々と遠くなる
見上げていても殆ど見えないぐらい
随分上まで行くなぁ


遂には雲に隠れてしまった


恐怖も不安もないんだろうな
羨ましい

僕の声が届くかどうか
もう分からないけど大きな声で


『早く滑って来いよ!』



自由詩 過去に泣かれる現在の僕と未来 Copyright 酸素の枷 2007-05-26 15:25:49
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