村人と狼
はじめ
行ってみると門番の雪だるまが破壊されていた
誰にやられたんだ!? と聞くと
狼にやられたんだ と悔しそうな顔で答えた
ということはこの村に狼が入ってきているということだ
僕達は顔を青ざめ 僕はみんなにすぐに村中を捜索するように命じた
みんなははい!! と声を揃えて一目散に散り散りになっていった
僕と数人の仲間達は雪だるまを直すべく転がして元の姿に戻した
問題なのは村の中に危険な狼が潜んでいるということだ
雪だるまに詳しく聞いて昨日の夜遅くに忍び込んできたということは丸半日経っているということだ
幸い今のところ被害は出ていないがいつ何時狼が村人を襲うか分からない
用心して早めに見つけて追い出さなければならないと思ったその時
キャー!! という悲鳴が村中に木霊して 僕達は全員その叫び声が聞こえてきた方角に顔を向けた
狼が襲い掛かってきたんだ!! と僕は叫び 村の中へ駆け出した
囲いがしてある村の森の近くの井戸で西洋人形の娘さんが桶を落として狼に押さえられて倒れていた
僕達は近くから農具を持ってきて 白の混じった灰色の狼にこう言った
娘さんから離れろ!! さもしないとお前の体をずたずたに切り裂いてしまうぞ!!
すると狼は 本当はお前達に恨みなどない しかし 他の者達が私達の住処を荒らし回っていんだ!! そして珍しい種族の私達を見せ物にするか 殺し その毛皮を高く売るかしているのだ!! お前達にそのような権利があるのか!! 私の家族もみんな連れて行かれた!! この感情を何処にぶつけなければいけないのか私には分かっている!! しかし本能が私を無差別に襲わせることをどうしても止められないのだ!! 許してくれ村人よ 私はこの村を滅ぼしいつか本当の加害者にぶつかるまで殺戮を繰り返すつもりだ!!
と言って大きな口を開けて娘さんの頭を飲み込もうとした 僕達は止めろ!! と叫んだ
するとどこからともなく銃声の音が聞こえたかと思うと 一瞬にして狼は吹き飛び 地面を砂煙を出して倒れた 僕達が振り返ると娘さんの父親が猟銃を持ってぜぇぜぇと荒い呼吸をしていた 僕達が何かを言う前に 大丈夫 ただの麻酔銃だ と父親は言った
僕達は狼の意識が戻るまで村の真ん中にある共同テントの中で狼の看病をしていた しばらくして狼が目を覚ますとさっ と体を構えて牽制して僕らに噛み付こうとしたが 僕達は宥めて 狼とじっくり話した 狼は涙し そして申し訳なかったと言い 自分は奪われた家族を取り戻す為 旅に出ると言った 僕達は村の入口まで狼を見送り 小さくなって見えなくなるまで手を振った 僕達は狼から大切なことを教わったような気がした