夏の誘拐
なかがわひろか
夏は結局いつも
気づけば私を置き去りにしてしまうから
今年はちゃんと捕まえて
かごの中に閉じ込めてやろう
だらだら溶けるアイスキャンディーは
外れの文字をさらけ出すだけだけど
それはきっと夏が訪れた証
それを餌に私は待つ
もうすぐ夏がやってくる
私は網を片手にじっと息をすます
夏は音も立てずにやってくる
私はそっと耳を澄ます
もうすぐ夏を
捕まえる
(「夏の誘拐」)
自由詩
夏の誘拐
Copyright
なかがわひろか
2007-05-26 01:08:26
縦