舗装されていない道
チアーヌ

山道を左に入って
舗装されていない砂利道を1キロくらい
そこに

わたしとあなたの
思い出が
白っぽい蜃気楼になって
佇んでいる

わたしは怖いから行かない
たぶんあなたも

もう触れない場所に
何もかもはあって
あなたとわたしは
もうたぶん
死ぬまで会わないから

「死ぬってどういうこと」
って
いつも死体を見ている
あなたに聞いた
「死ぬって言うのは
怖くなんかないんだよ
みんなやってることなんだから
それに死んじゃったときは
どうせ自分が死んだことなんか
わからないんだからさ」

じゃあわたしとずっとここにいようよって
言いたかったけど

わたしたちたぶん
死んでしまったんだね
だからあそこにあるのは
わたしとあなたの幽霊
あれは
白い蜃気楼になった
わたしたち

わたしはもう左には曲がらない
舗装されていない場所も
歩かない


自由詩 舗装されていない道 Copyright チアーヌ 2007-05-25 23:19:56
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