戯曲
あおば

          2007/05/25


賞味期限の
切 れ た
賞味期限切れの
カマンベールチーズを
冷蔵庫から取り出して
見る
そんな儚い連想をしながら
21世紀末を思う
明日は東京でも28度以上との
熱くなる予報を聞いて
地球温暖化のことばを噛みしめ
2つに割ったチーズを噛みしめ
まだ味落ちてないジャンと
半分を包み直して
冷蔵庫に戻し
これからの世界のことを
今までの世界のことから演繹し
数学的帰納法ということばも思い出し
自転車に乗ってあさってのカマンベールチーズを買いに行く
お金があれば生きてゆくのは難しくないと思っていたのだが
お金があっても使い方が分からなくなったら
お金があっても食べ物が無くなったら
どうしようもないと
飢饉のとき
千両箱にもたれ掛かりながら飢え死にした長者の顔を思い描いて
今も昔も生きてゆくのは大変だったと今更に思う
自転車に乗って
川縁を走るのは
気持ちが良いのだけれども
川は曲がりくねったあげく
高速道路の横から急に地下に潜って
そこから先は見えなくなる
急ごしらえの都市化の波に浚われた
小さな川は地下に潜って
自転車で走る道は行き止まりになっていて
もと来た道を戻るしかないのかと諦めるのは
土地勘のない人で
潜る少し前に横道にそれると
隣町に通じていて
カマンベールチーズも売っているスーパーなどもあり
景色が少し変わります。






自由詩 戯曲 Copyright あおば 2007-05-25 13:14:51
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