そんなふうにして過ぎていく
望月 ゆき


きみがとなりにいて、まつげの
触れるくらいとなりにいて それは
おどろくほど退屈で いとおしい
午後で





きのう、オジギソウが発芽して
日記にそのことは書かなかった
夕立がやんで
運ばれてくる、夏の気配と
カーテンのすその匂い
それとおんなじくらいにきみのことが
好きだけれど
それも、書かない



毛羽立ってしまった
思い出とか、記憶、
しまいこんだそれらを忘れたふりをして 
あしたの天気のことなんかを話す
部屋の中は
心地よいうっとうしさと、孤独と、
しあわせのようなものが
飽和している
日記をつけるのは、もうやめよう



週末になったら、遠出しよう
どんなかなしみからも見つからない
彼方まで
オジギソウには たっぷり水をあげて
ぬかるみを避けながら
迷走する、夏の先端
もしも追いつかれたら 泣こう



あした、
おはようを言うと きっと 
オジギソウはおじぎをして 
きみの指の隙間からひらかれていく
未来、
それよりも きみ
足の爪を噛むくせがあるって知っても、
きらいにならないかな
そんなことばかり思い出して、笑う




自由詩 そんなふうにして過ぎていく Copyright 望月 ゆき 2007-05-25 10:23:14縦
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