戯曲
たもつ

大好きな果物の
味でもしたのだろうか
モノレールの銀色の車体に
君の歯型がついてる

先ほどまでは
玄関の無い所
スリッパと同じ格好をして
スリッパを並べていた
今は肩を丸出しにしながら
ひとつずつ裸になっていく
肺は二つ
誰に汚されることなくあるのに
君にはまだ
皮膚呼吸が足りてなかった

シーソーの片一方に僕が乗って
片方にはもう何も残ってない
ただ景色のようなものだけが
遠くまで広がっている
頭を少し垂れたのは
謝りたかったからではない
のしかかってくる空の重みに
耐え切れなかったのだ


自由詩 戯曲 Copyright たもつ 2007-05-25 08:47:50
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