後悔日詩
麻生ゆり

11月28日(土)晴れ
人に恋することを「心奪われる」っていうけど
もしもそれが本当ならば
心を失ったぬけ殻が
奪われた心を取り戻そうと探しまわって
結局それが
想う人に逢いたいっていう気持ちになるんだろうね

11月29日(日)晴れ
光の中に散らばる無数の埃が
まるで我が身から出た塵のように見えて
なんだか分解されてゆくように感じた
彼らはいったいどこに行くのだろう

11月30日(月)晴れのちくもり
周りの人がいい人だから
自分を醜く思う
周りの人がきれいだから
自分を黒く感じる
周りの人が好きだから
自分を憎んでる

12月1日(火)晴れ
ときどきすごく考えることがある
どうして人間は
自分自身を“時間”っていう鎖で縛りつけるんだろう
だけど私だってそうしてるから誰にも文句は言えないね
だけどたまには自由にしたいときもある
そんな時私は駅を歩くんだ

12月2日(水)くもりのち雨
目の前に続くは灰色の道
白に変わるか黒に染まるか解らない中庸の灰
だからいつまでもこの場所にとどまりたいと思う
ほらごらん 振り返って見たら無垢で幼い私が倒れているよ
ごめんね もう手遅れだから抱き起こしてあげられないんだ
先に進まなきゃならないのが生きることの宿命だから


(1998年の習作)


自由詩 後悔日詩 Copyright 麻生ゆり 2007-05-24 22:11:43
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