花ノ名
見崎 光

散ってしまった花弁を
どれほど美しく繕っても
風に舞い
せせらぎに揺れ
瞳は透明に転がって
転がって…


散ってしまった花弁を
どんなに綺麗と詠っても
風と飛び
せせらぎと泳ぎ
瞳が粒を溢して
溢して…


無邪気に笑う髪
わずかに残る甘さをなびかせて
掻き分ける指先を見失う


木漏れ日に見つけた一輪の
鮮やかに弾けた蕾
繰り返し囁いた精粋に
染めた頬がいじらしい


散ってしまった花弁を
どうしても飾っておきたくて
けれど…
風は悪戯に
せせらぎは無情に
瞳ごと記憶を消していく
消されて いく


光りに咲いた花ノ名さえも









自由詩 花ノ名 Copyright 見崎 光 2007-05-24 21:40:49
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