存在が見え隠れして
ブルース瀬戸内
幻惑されるのが人生だと言い切るために
私は人生の何を知っているだろう?
新しい言葉の羅列を生み出すために
私は言葉の何を知っているだろう?
言葉の存在意義は輝くことでもないのに
あなたはどうして言葉を磨くのだろう?
その輝きの中に、美しさの中に、
私は逃避しようとしているのだろうか。
究極の無駄かもしれないことに
どうして人生丸ごと費やすのだろう?
究極だからだろうか。
時代が移ろっても移ろっても
私たちは一面、愚かなほどにロマンチストだ。
月が綺麗だったりすると
もう未来を手にした気分になるし
世界が味方になった気すらする。
幻惑されるのが人生だと言い切るために
人生は私の何を知るだろう?
新しい言葉の羅列を生み出すために
言葉は私の何を知るだろう?
生きて、生きて、生きて
言葉に決着をつけたいだけなのだ。
身に余る壮大のことを目論んでいることには、
まだ気づいてないけども。
世界は至って静かだし
言葉は変わらずニュートラルだ。
そこに私の存在意義が見え隠れして
私は不恰好にそれを掴もうとしている。
そんな構図が自らの片隅にあることくらい
世界は許してくれるだろう。