窓辺の心臓 
服部 剛

窓辺には 
ガラスケースにしまわれた 
誰かの心臓が置かれている 

真夜中の無人の部屋に現れる 
今は亡きピアニストの面影 

奏でられる旋律に 
永い眠りから覚めた心臓は 
脈を打つ 

部屋の窓を開くと 
深い闇の彼方から 
潮騒が聞こえる 

テーブルの上には 
ゆるやかな時を刻む 
めとろのーむ 

柱の上には 
時間の止まった
古時計 

( 振り子は揺れて、鐘は鳴る )        

窓辺に置かれた 
心臓の鼓動は高鳴り 

闇の潮騒に赤々と昇る 
あの太陽を 
待ち望む 





自由詩 窓辺の心臓  Copyright 服部 剛 2007-05-24 01:54:26
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