海の見える丘にて 
服部 剛

 背後の空に 
 カラスの群が旋回していた 

 丘の上の広場で 
 寄りかかる柵から身を乗り出す 
 
 目の前に広がる凪いだ海 
 正午の日は
 無数にきらめく波間の上に 



遠くに見える蜃気楼  
霞のかかる遥かな都市と 
工場のラインに並ぶ 
忙しげな無数の手が 
今日も息づく都市の
時計の針を動かす
 


 柵から 
 見下ろす  
 急な傾斜を埋め尽くす 
 すすき野原は風になびいて 
 ゆるやかな調べで 
 晴天をふり仰ぐ 

 背後で 
 麦藁帽子をかぶった少女が 
 幼いふくらはぎを躍らせ 
 日のあたる白昼の広場で 
 両手を広げて待つ 
 父のもとへ 
 駆けていった 








自由詩 海の見える丘にて  Copyright 服部 剛 2007-05-23 23:12:31
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