必要な、こと
凍雲 月歌


メールが来るだけで頬が緩んでしまったり、とか
声を聞くだけで胸がきゅうっと締め付けられたり、とか
顔を見ると心臓が飛び出してしまいそうになったり、とか

そんな甘酸っぱくココロを染めるような時には、もう戻れない
いつまでもこの時が続くことを
信じるのではなく、経験で知る
漫然と続くこのココロとココロの繋がりを
鼈甲飴を舐めるように、じっくり吟味する
味気無さを漂わせ始める「愛してる」の一言さえ
壊れぬように丹念に、鼓膜の上で何度も転がす

些細な事で喜んだり悲しんだりできる、あの日々にはもう戻れない
その代わり、ざわつくココロでは忘れてしまいそうになる沢山のものを
ボクらは静かなココロで、もう一度その価値を見直すのだ

それこそがきっと、ボクらが今失いかけているもの
ずっとずっと、大切なヒトと過ごすために必要なこと



自由詩 必要な、こと Copyright 凍雲 月歌 2007-05-23 22:12:50
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