古典詩ほうらむ(第三段)
ぽえむ君

今は昔、をとこありけり。
まめにあやしき箱の詩歌の会に投げ入る。
よき歌には数を賜るも、をとこまれなり。
せむかたなしとて時うつるなか、いとになき歌を
思ひ浮かべり。すなわち投げ入れて数を待つも
答へなし。
さるほどに、なかなかなりと詞ばかり賜り、さらに
もどかし、むつかしとて、会、ことようなり。
会の主に申すも、ふたつ車にて旅しければ、すべなし。
いも寝られず、かなしくおぼえければ、

 よき歌と思ひて走るわが心
  いづこともなく旅に出づなり

と詠みて、家にこもれり。


(現代語訳)
今では昔の話になっしまいましたが、男がいました。
熱心に不思議な箱(パソコン)の詩歌の会に(詩を)
投稿していました。
よい詩歌には数(ポイント)がもらえましたが、
(男の歌は)もらえることはたまにしかありません
でした。
どうたらよいのかと思いながらも時が過ぎてゆく中、
とても比類のない歌が思い浮かびました。すぐに
投稿して数(ポイント)を待ってみたが返ってくる
ものはありませんでした。
そうしているうちに「なまじしないほうが良い」と
いう詞(コメント)のみを(人々から)もらい、
さらに「気に入らない」「うっとうしい」(などで)
会が異様な状態になりました。
会の主(管理人)に申し立てたものの、(管理人は)
二つ車(オートバイ)で旅に出ていたので、どうし
ようもありませんでした。
(男は)寝ることもできず、悲しく思ったので、

 良い歌だと思って走らせた自分の心は
  どこともしれず旅に出てしまったようだ

と(歌を)詠んで、家にこもりました。



散文(批評随筆小説等) 古典詩ほうらむ(第三段) Copyright ぽえむ君 2007-05-23 15:05:49
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