メランコリーの砂浜
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砂浜のちいさなたそがれに汐風をうけて
ふとった子蜘蛛が舞い降り詩集の端の水をのむ
大気中のかなしみも八つにきざみ鋏角にはこび
せんべいのように噛みくだかれたこころ
わたしはお前に咀嚼されながら
はじめてのあたたかいなみだを流す

お前 どこから飛んできた
お前 どこへ飛んでゆく


蜜蜂の毒にしびれた青虫が
うっとりと眠っている
松葉のうえに敷きつまったつつましさ
そこにことばは策を弄するしかできない
太陽に焼かれるすべてのいのちが風に
さらに燃やされるのを眺めるきりで
寝ころんだ背中をいったりもどったり

ことばは 心を語るだけだ
ことばは 鳴きながら空へただよう


入道雲の下に消えてゆく波乗りたち
彼らにされた呼吸こそ手にとどく宇宙
飽きもせずメランコリーのかみそりでなで
旋回する鳶が凹凸した水を慣らす時刻だから
友はオルガンの響く海におかえり
わたしは唇がまっさおになるまで
楽器を打ちすえことばに代えよう

母親はあの白い月
おしりの糸を手繰ってゆければ
このこえも、生まれた天へとのぼるだろう






自由詩 メランコリーの砂浜 Copyright soft_machine 2007-05-23 11:43:30
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