Ⅰ・Ⅱ
海月

?

耳障りな都会の雑踏に身を置く
誰かに救われたいと思いつつ
自分を傷付ける

深夜の静寂(しじま)の公園
月明かりに照らされて
悲しいシルエットが其処に映し出されている
今日も一日ご苦労様

声を掛けた
本当は自分を慰める一言だった

痛みを帯びた手首
鮮やかな想いだけが滴る
緩やかなに流れては暖かい

瞳(め)を閉じては思い浮かぶ横顔
他人とは違うから一目で分かる
だけど、明日からは他人に戻る

優しさの凶器を振り回して
後悔に悩む日々を積み重ねて
積み木みたいに崩れそうで
これ以上は維持出来そうにない

君と二人ならば
言葉も必要なく
一緒にいたい

望んだ君の手を振り解く

知恵の輪が解けた瞬間

絶望、脱力、喪失感
期待、希望、達成感

君と私
表と裏
真と嘘

望む声は雑踏に紛れて
私の耳に微かに零れて
私の声は完全に消えた

?

初夏の風が移動して
緑が揺れて
あれから、月日はどれだけ流れたのだろう

言葉を交わして
囁き合えた日々を懐かしく思える程に
季節は巡って
何度か思い出すのは最後の言葉の意味

今は静かな場所で自分を置き
誰かに望むことは止めた

自分を傷付ける事に疲れたんだ
偽りの愛を演じる事に疲れたんだ

初心に帰れたら良いのに・・・
何も知ることない時の初めに
そして、私は声を掛ける事無く
横を通り過ぎる

いつか、夢の続きを描けたら
途中で筆を止めた未完成の絵
いつか、鮮やかな色を描いて
途中で真ん中から分けるから

風が静かに通り過ぎた
私は長い夢を見ていた
懐かしい、そんな感じの夢だった



自由詩 Ⅰ・Ⅱ Copyright 海月 2007-05-23 01:00:12
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