消えかけの電灯
なかがわひろか
窓から見える消えかけの電灯は
一週間くらい前からずっと不定期に点滅していて
きっとそれは誰かに送る信号で
それを見た誰かは
もうすぐ徒党を組んで
この町にやってくる
きっと僕たちは
母さんも父さんもじいちゃんも
みんな家から引きづり出されて
一人一人尋問されて
だけどきっと何を言っても鞭で手の甲をぶたれて
そこから赤く肉が腫れ上がって
気づいたらパックリと皮膚が裂けて
そうやって血だらけになった手を縛られて
町中を引きづりまわされる
僕ら家族はそんな風にして
町中の人の見世物になるんだ
だけど誰も笑わないだろう
次は自分の番だってことを
みんな分かっているから
もうすぐ彼らがやってくる
消えかけの点滅する電灯を目指して
もうすぐ彼らがやってくる
(「消えかけの電灯」)