消えかけの電灯
なかがわひろか

窓から見える消えかけの電灯は
一週間くらい前からずっと不定期に点滅していて
きっとそれは誰かに送る信号で
それを見た誰かは
もうすぐ徒党を組んで
この町にやってくる

きっと僕たちは
母さんも父さんもじいちゃんも
みんな家から引きづり出されて
一人一人尋問されて
だけどきっと何を言っても鞭で手の甲をぶたれて
そこから赤く肉が腫れ上がって
気づいたらパックリと皮膚が裂けて
そうやって血だらけになった手を縛られて
町中を引きづりまわされる
僕ら家族はそんな風にして
町中の人の見世物になるんだ

だけど誰も笑わないだろう
次は自分の番だってことを
みんな分かっているから

もうすぐ彼らがやってくる
消えかけの点滅する電灯を目指して
もうすぐ彼らがやってくる

(「消えかけの電灯」)


自由詩 消えかけの電灯 Copyright なかがわひろか 2007-05-23 00:54:19
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