小笠原
あおば

         2007/05/22


小笠原高気圧に追われて
やむなく上京したと
台風の息子たちが
小遣いをせびるので
梅雨のおかあさんに
怒られるから
内緒だぜと蝦蟇口から
10銭銅貨を一つまみ
順々に恵んで歩く
夢みたいに凍り付く
綱渡りのような
自転車操業の日々だった
暢気な叔父さんは
タバコ吹かして煙に巻く
照る日曇る日風が吹き
恵んで歩いたお日様も
どっこいしょと腰をかけ
雨が降るからお休みで
5歳の叔父さん独りだけ
湯屋に行く
駒下駄からころ大通り
電車の窓から手を伸ばし
10銭銅貨を頂いて
お日様上がるの待っていた

暗くなってからも
小笠原高気圧を恐れて
土下座しながら内職で
草鞋を編んでる地蔵尊
赤い布きれ巻きつけて
ご先祖様に手を合わす


自由詩 小笠原 Copyright あおば 2007-05-22 21:26:08
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