渓谷に乾いた音が響く
アハウ

春の水を取り
渓流に足を浸すと

新緑の夏は 
そっと 足元を潤す
木漏れ日の交響を 響かせて

汗 拭く 額は生きつづけた

未だ来ぬ 時を
遡行する 魚にたとえ
君は詩を 夢見て

森の木々のざわめきに
大空の母の指先を見て

渓流を静かに 登る

ささやき続ける 山 谷

輝いている 緑

  それは私とあなたの
  大腿骨を摺り合わせたような音
  カーン カーンと
  静寂にそそり立つ
  鳥たちのさえずり
  カーン カーンと
  私とあなたは息を合わす
  これが 人間の音

風に森は ざわめき
渓谷は さざめき
骨を摺り合わす

流れる 
白い音響は続く



自由詩 渓谷に乾いた音が響く Copyright アハウ 2007-05-22 19:41:00
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