片鱗
アハウ

境界のあやふやな 一日は
爪の間から 鱗が生えてしまう

空をつかむ その指には
退行の刻印のニキビ跡

  夕暮を透かして 茜色
  山の稜線が
  青く 遠のく
  空に雲は置かれ 

その手先から
歪んだ片鱗の光が
焦点を狂わす
結ばれぬ 像
デフォルメされた
体 心

半端な 一日は
鱗が生えて

じめじめした所が恋しくなる


自由詩 片鱗 Copyright アハウ 2007-05-22 10:00:23
notebook Home 戻る