噴水の仕組みがわからないから
水町綜助

噴水の仕組みがわからないから
それはもうじっと見ているしかできなかった
一定の水が噴水の中にはあって
それがどこかで汲み上げられて
吹き上げられている
そして落ちて回る
それくらいはわかるよ

吹き上げられればやっぱり風なんかに吹かれて
崩れた水玉から飛沫も飛ぶだろうし
少しずつ蒸発して行く真夏なんて
ただ乾いて行くばかりだろう
どこかでどうしてか水が足される
水が回り
循環している
でもその中でどうしても
環からすり抜けて
環にすり抜けられて
いつまでも溜まりに渦を巻いてしまう水もあるだろう
乾いていくものと留まりつづけるもの
その間はどこなのか
つないでいる場所は

たとえば風の吹き始めはどこか

町と誰かの町との間はどこか
その線の上は

窓の外と空との間はどこか
額縁みたいだ

川が海に流れ込むところは

虹とかいう光のきれる場所は
赤い屋根か

それがどこにあるかわからない

君と僕は
わかるね
こんなにもくっきりと
輪郭を皮膚が区切ってる
刺して引っかけば切れるなんてうそだよ



自由詩 噴水の仕組みがわからないから Copyright 水町綜助 2007-05-21 10:50:59
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