悪戯な雨の、演出
見崎 光

雨が
零れている
静かに
そう 静かに


鼻先にヒトシズクを垂らし
傘に包ませた 昼下がり
小降りだった雨は土砂降りで
思わず足を 止めてしまった
どうしようもなく不安な雲は
光を操り
低音の鼓動を響かせて
誘導していく


すっかり闇に沈んだ夕時
びしょ濡れの靴
お気に入りのジーンズもくたびれて
冷えきった躰を抱えては
頭上を伝う雫と音に
想いを 預けた


理由も探せずに
頬を
淋しさが流れる
街灯が優しく灯された
淡さを彩るように
雨が 零れている
静かに
そして
穏やかに…





見上げた先の 温もり
傘を放り投げて

貴方に 溶けていく







自由詩 悪戯な雨の、演出 Copyright 見崎 光 2007-05-20 19:29:07
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