F902i未送信ボックス集①
土田

06/05/02無題
垂れ流した嗚咽のあと
ショットバーで出会った女を抱いた
車の過ぎ去る音が気持ちよかった
いま途方に暮れている
意識が朦朧としているのに
まだ捜している
誰にも似つかない
ぼくの女

06/05/04無題
知ることを知ったとき
密閉された空間
あとで振り返れば
伝えたいことばかりで
溶け残ったのは
遮るものが何もないこと

06/05/12無題
山があり
枯れ木野の山があり
さびしくく
さびしくく
犬を待ちわび
翳しては
枝の切っ先
草の発芽
けものの空音
犬は鳴き歩き
ふらふら
犬を待ちわび

06/07/07無題
十四時
東西線で人身事故
特別な気持ち
飛び降りかな
車内アナウンス何回目?
死んだのかな
生きているのかな
つまらないな
ぼくならもっと


自由詩 F902i未送信ボックス集① Copyright 土田 2007-05-20 14:32:09
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
いつかもしかしたらたぶんお花さんになるかも知れない便所の誰かの携帯電話番号みたいなワクワク感と臆病感