初恋の一日
小川 葉
意味もなく
突っ立っている
その言葉に
気づいている
きみひとり
髪をぬらして
雨の中にふたり
傘をひとつ買った
初恋の朝
目的もなく
寝ころんでいる
その眼差しに
気づいている
ぼくひとり
髪をなびかせ
雲の上にふたり
林檎をひとつ買った
初恋の午後
理由もなく
ただ歩いている
その歩幅に
気づいている
きみとぼく
髪はもう乾いていて
道の果てにふたり
月をひとつ買った
初恋の夜
自由詩
初恋の一日
Copyright
小川 葉
2007-05-19 23:28:06