ジュリアに捧げる詩(うた)
麻生ゆり

  1
8年という年月が
月日が
どれだけ長くて
どれだけ短いのか
それすらもわからない
さようならと言ったところで
いったい何になるだろう
悲しくて哀しくて
寂しくて淋しくて
もはや
それしかない
二度と出会えないその身体に
その温もりに
涙すらも枯れ果てて
ただ切なくて
からっぽのようなこの心
救えるのは夢に出てくる
あなたの姿
けれど今となっては
愛でることすらできない
きっと徐々に徐々に
憐れみが減ってゆくと同時に
思い出や
毛や
あなたの残していったものが
失われてゆくことだろう
願わくは我らが愛犬の御霊よ
静かに光輝く場所に行けますように…

   2
あっという間に
こんなに小さくなってしまったね
ついこの間まで
つるつるでみずみずしい
トマトのようだったのに
もう泣かなくなってしまったよ
太陽が昇り
月が沈み
星が流れるのは早いね
もうフレームの中でしか会えない
変わらないその足、体、顔
そして瞳…
夢の中だけでいい
あなたに会いたい
もう一度お散歩に行こう
もう一度ご飯をあげよう
もう一度…
それはもう
叶わぬ幻…
さようなら、ジュリア

愛犬・ジュリアに捧ぐ


自由詩 ジュリアに捧げる詩(うた) Copyright 麻生ゆり 2007-05-19 23:10:23
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