シーツの水底
hon

喫水を傾いだキャラベル船から
周辺の魚にふるまわれた金貨が
凍える泡を巻きこんだ海流の底に
横たわった鏡をつらぬいて
細い螺旋を描きながら沈んでいった
激しく凝集する深い奥には
歪んだ 乾いた笑いの
透きとおった白い頬の彫像が
尖った電極から規則的に導かれた
病んだ肺臓の明るい影へ
擦るような刺衝として
ついに止むことのない
用意された最後の蘇生を
ひたぶるに与え続けているという


自由詩 シーツの水底 Copyright hon 2007-05-19 21:49:23
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