ゲイン
三条



ゲインが降っています。

お母さんの声も、野良猫の声も歪んで聞き取れない。

あなたの声は初めからありはしない。


ゲイン、ゲイン、もっと。


音なんて要らないんです。

どうか止まないで。


ゲインをかけすぎて。

白いセミアコがハウリングして煩いな。

いち



さん



指が短いの。


アップ

アップ

ダウン

ダウン


ピックが折れそうで美しい。


あなたがなにをしていようが

ゲインはわたしの味方です。


あえぐ声も囁き声も聞こえない。

全てにゲインをかけてしまえ。



湿った空気が頭を揺らす。



ゲイン、ゲイン、ゲイン、壊して。






自由詩 ゲイン Copyright 三条 2007-05-19 19:33:05
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