集中打
あおば

          2007/05/19

集中打を浴びて
交代させられた
投手の心の中は
どんなものかと
憶測した時代に
コンピュータ・ビジネスがあれば
ITがあれば
もう少しは救われたかも知れない

救われた魂だけが
美しく磨かれて
安売り店に並べられて
演色性の高い光を浴びて
ピカピカ光っている
救われなかった魂は
売り物には成らないから
燃えないゴミの日に
産業廃棄物の傍らで
リサイクルショップの裏口に
しばらくは佇んでいるだけだ

訳分からないままに
過ごしてきたのだけど
長い間その間
誰も教えてくれなかったこと
集中打を浴びて
交代させられる気持ちは
教えようと思っても
教えられないのだと
今頃になって分かったような気がする

集中打を浴びて
虚しくなるほど集中打を浴びても
失点ゼロならば
記録には残らない
ハラハラやきもきさせてくれたとお客さん
余計な仕事をさせられたと仲間たち
プロの選手たちも
落とし前をつけて
この次はおごってくれよと言いたそうな顔をするのだろうか
プロどころかアマチュアにも草野球にも混ぜてもらえなかった私はいくら考えても分からない。


自由詩 集中打 Copyright あおば 2007-05-19 18:55:20
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