要冷凍
たもつ



冷蔵庫の中には青空が広がっていたので
君は買ってきたゼリーを冷凍庫に入れるしかない
冷凍庫は満杯でゼリーをしまうスペースをつくるために
君は肉の塊を取り出す
いつ買った肉なのかすっかり忘れてしまっているけれど
それをレンジで解凍すると
いくつかの野菜を刻みいっしょにフライパンで炒めて
夕食の一品とする
君は冷凍庫の中でソルベ状になったゼリーの食感を空想
そして幸福感に包まれたまま冷凍庫の扉をスライドし
ゼリーを取り出す
蓋をはがすとゼリーは既に青空に侵食されている
君はシャリシャリ音をたてて青空を噛む
世界のどこかで青空が崩壊していることに気づいているのか
あるいは気づいていないのか
それはそれとして
君の薄い唇から「美味しい」という言葉がもれる





自由詩 要冷凍 Copyright たもつ 2004-05-07 16:59:45
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