ここだけ
乱太郎

ここだけの話って言うから
僕はここに置いておくつもりだった
あなたの大きな目を信じて
たいして大きくはないと思ってはいたけど
そう言うから

嵐が去って
野原を見渡せば

あそこに
あそこだけの石が転がって
むっすりしている

そこには
そこだけの水溜りがあって
あなたの顔を映している

向こうにも
向こうだけの砂の山があって
風に飛ばされようとしている

こちらにも
北側にも
南にも
ここだけが
あちらこちらに
ほんのちょっとずつ形を変えて

神様
うそでしょ
真理は一つのはずではなかったの

夕暮れ時
彼女が山のてっぺんで
大声を出しているのが聞こえたよ



未詩・独白 ここだけ Copyright 乱太郎 2007-05-19 10:13:27
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