モノクロ童話
太陽の獣
天使と悪魔の話しでございます
天使はいつも皆が幸せになることを願っていました
悪魔はいつも自分が幸せになることを考えていました
天使は悪魔に言いました
「あなたの幸せを皆に分けてもらえませんか」
悪魔は言いました
「俺の幸せは俺のものだ、誰にも分けるつもりはない」
天使は言いました
「しかし、幸せは限り有るもの。あなたが幸せな分だけ、皆は不幸になるのですよ」
「そうだ。幸せは限り有る。だから俺は奪うのだ。そうして俺は手に入れてきた、そしてこれからもだ。幸せが欲しけりゃ奪ってみせろ」
「なんと身勝手な、これではまた不幸な人が増えてしまう」
「ならば代わりにお前が犠牲になれ」
悪魔は突然、天使に襲いかかりました。
天使はとっさに抵抗し、思わず悪魔を殺してしまいました。
天使は悪魔を憐れんでいましたが、とりあえず皆に悪魔が死んだ事を告げました。
皆は大喜びです。
皆が「天使様」「天使様」と彼を崇めました。
そうして崇められるうちに彼は気分が良くなり、幸せな気分になりました。どうやら悪魔を憐れむ気持ちを忘れてしまったようです。
彼が願ったのは皆の幸せ。彼は今でも、皆の幸せを願っているのでしょうか
それから幾日後
天使もまた誕生しました
天使と悪魔の話しでごさいます