あゆみ
soft_machine


はつ夏は今年も空から降りてきた
すこし遅参だった
寄り迎える雨と

春の安らぎは訣せられ
季節の溜りから
そっとこぼたれ

そぼ濡れる外火のふるえながら吐息する
犬も女もさみだれに歌を失い
じっと涙を洗われた


  手折られた百合よ
  なくした傘をみつけようと
  手折られながらも咲いている
  お前が愛した水の紋

  それは誰の足跡か
  駆けて水面の袖に
  頬の紅潮した少年を
  なぜるのは風

  固めた土を疑うことはもうしないが
  手にしたこの冷たさ
  鋏を入れたさくさくとゆう心地よさ
  花器に立つ美しさ


私は耳の奥で鉛筆を削いでいる
空は合わせを解かれ光っている
私たちは雨に包まれている
夏の身近くもあり遥かな抵抗
ただ見つめながら

私はわたしを残して
雨に瞳を打たれ睨み

空はあした
まだ 誰もいないあしたへあゆむ






自由詩 あゆみ Copyright soft_machine 2007-05-16 16:37:27
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