あゆみ
soft_machine
はつ夏は今年も空から降りてきた
すこし遅参だった
寄り迎える雨と
春の安らぎは訣せられ
季節の溜りから
そっとこぼたれ
そぼ濡れる外火のふるえながら吐息する
犬も女もさみだれに歌を失い
じっと涙を洗われた
手折られた百合よ
なくした傘をみつけようと
手折られながらも咲いている
お前が愛した水の紋
それは誰の足跡か
駆けて水面の袖に
頬の紅潮した少年を
なぜるのは風
固めた土を疑うことはもうしないが
手にしたこの冷たさ
鋏を入れたさくさくとゆう心地よさ
花器に立つ美しさ
私は耳の奥で鉛筆を削いでいる
空は合わせを解かれ光っている
私たちは雨に包まれている
夏の身近くもあり遥かな抵抗
ただ見つめながら
私はわたしを残して
雨に瞳を打たれ睨み
空はあした
まだ 誰もいないあしたへあゆむ