スカイ・アドベンチャー
はじめ

 TVは無料だ 衣服は支給されたものだ 浮遊大陸に住んでいる
 雲の上に浮遊大陸はある だから天候に左右されることはない
 昔の生き物達は 雲の上に浮遊大陸があると信じて止まなかった しかし文明がそれを証明するのにはまだ幼過ぎた 生き物達はいつか浮遊大陸が存在することを実証できることをずっと夢見ていた
 それから幾つもの時が流れ 生き物達は空へ昇れる技術を手に入れた さっそく雲の上を調査したところ 無数に浮遊する大陸を発見することができた 浮遊大陸は星と同じように恥ずかしがり屋で ずっと雲の上に隠れていたのだ だから望遠鏡でも晴れの日でも見つけることはできなかったのである
 浮遊大陸は人類と仲良くなることによって 雲の上から出て 世界中に散らばるようになった 地上では人口問題が深刻化していた 僕達スラム生まれの生き物達は 街から溢れていて暮らしていた すると政府は 荒涼とした浮遊大陸を整備して僕達みたいな生き物達を移住させた
 僕達の住むような浮遊大陸は無数にあって 世界中の様々な種類の生き物達が住んでいる 僕の住んでいる浮遊大陸は同じ人間でも肌の色や言葉の違う人達が一杯いるし 違う種族の生き物達も沢山いるけど 他の所では同じ肌の色や同じ言葉を喋る人達 同じ種族で集って暮らしている
 最近 浮遊大陸連合国と地上との仲が悪い 戦争までも始まっている 天上と地上の交流は今のところ禁止されていて 自由に行き来することはできない 地上からの戦闘機で滅亡された浮遊大陸もある そういった浮遊大陸は地球を漂い続け 空賊達の格好の餌となる 滅亡した都市にはお宝が眠っていることが多いからだ 僕は空賊というものを一度も見たことがない 本の中での登場人物だという感覚が未だに抜けない 僕の祖父達は見たことがあると教えてくれた それくらい伝説的な存在だ
 ところがある日僕達の住んでいる浮遊大陸に地上軍がやって来て攻撃してきた 僕達は逃げ惑い 隠れたが 皆奴隷として捕まってしまった 母と妹も一緒に捕まってしまった 地上で『天空人』として売られるのだという 僕は必死に逃げて袋小路に追い詰められてもう駄目だと思ったその時 空賊の君が僕を助けてくれた 僕は命拾いをしたのだ
 何処か安全な場所に隠れた後 僕はどうして君は空賊なのに僕を助けてくれたの? と聞いてみた すると たまたまよ と言った 僕は美しい君に一目惚れをした 何も言わずに立ち去ろうとした君に 僕はどうすればいいの? と聞いてみると 「自分で考えなさいよ」と言われた 僕は君に「僕も連れて行ってよ」と頼んだ 君は初めはきっぱりと拒否したが 僕が何度も何度も懇願すると 仕方ないわね と溜め息を吐いて 僕を浮遊大陸から連れ出してくれた 巨大な飛空挺に乗り込んで君の仲間を紹介してもらった とても個性的な様々な生き物達が乗っていた 僕は母親と妹を探す為に このみんなと旅に出ることにした 様々な困難が待ちかまえているだろうけど 僕は必ず目的を達成するつもりだ 太陽が東の空から昇ってくる 僕達の壮大なる冒険の始まりだ


自由詩 スカイ・アドベンチャー Copyright はじめ 2007-05-16 05:23:07
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