フルムーン
ななこ

小さい頃
夜空をくりぬいたかのように
真っ白な 満月に
追いつこうと 夜の街を走ったことがある

いつまで走っても
いくら転んでも
どんなに叫んでも

満月は遠くて
ちっとも近づけなくて

おばあちゃんが言いました

「お月さんはすごくすごく大きいんやけどね、すごくすごく遠いんよ」


その話をすると
あなたは笑って
私の頭を撫でただけでした


ねぇ あなたにたとえ話は難しかったかしら?

私は その頃から

あなたと私の距離を 知っていたのに


自由詩 フルムーン Copyright ななこ 2007-05-15 23:33:49
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