[扇風機にコエ]
AB(なかほど)

あ あ あ あ ぁ



Hくん

きみの真似する数学の先生が
とても好きだった

ん、あれだね、あれ
という言葉を発する間に頭の中では
いくつもの公式が飛び交っていたという
あの 先生


Hくん

君の思い出は
もちろん他にもあるんだけど
昨日の報せを目にした後
そうやって一番笑ってたときのことを
思い出したよ ょ


Hくん

東京の大学では
どんな勉強したのかな
そのときの瞳は輝いていたのかな
空を見るようなこともあったのかな
海に叫んだりもしたのかな
あの離島の砂浜で
キャンプした夜のように
星は あ あ ぁ


Hくん

星も見えなかったのかな
汚れた空気の向こうにさ
いくつもの星があるんだよ
あの夜 見たときと同じような

星が あ あ ぁ



Hくん

幼い娘たちを残して
往かなければならなっかった
友達のことを覚えてるかい
あのときも
もうすぐ夏の声が聞こえてきそうな
そんな夜で ぇ



あ あ あ あ ぁ

   あ あ あ あ ぁ


          あ あ あ あ ぁ


 あ あ あ あ ぁ



どうしよう
また
一緒に 笑い転げたときの
君の姿が浮かんでくる



扇風機は
声を震わせるためのものじゃない
そうやって
泣いてしまうための道具でもない ぃ




fromAB







自由詩 [扇風機にコエ] Copyright AB(なかほど) 2007-05-15 20:41:57
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