蚊ダンス

ドアを開けた
蚊が飛んできた
トートバッグで叩き落とした
カーペットの上で

踊っている
くるくる くるくる
楽しそう

ああ
もう飛べぬのだな
まっすぐに
俺の顔面めがけて
飛んできた
お前が悪いが
反射的に俺
叩き落としたりなどして
ごめんな

これ以上
トドメは刺さない
見逃す
せめてお前は
くるくる
ダンス
そうやって
最期のときを迎えてくれ

俺は一平ちゃんにゆを
それからドラフトワンのロング缶
をプシーッ
と開けて
ぐびぐびやる
もうすぐ
ジューイチ時になる
その前にタバコ
買わなきゃな
と思ふ
ドアの前まできた
足元をみたら

がいない
さっきの


いない
カーペットの上を見回す
何処にも


いない
消えた

そのとき
耳元で微かな羽音
が聴こえて

反射的に
ダンス

でダンス

身動ぎながら


ダンス

ああ
幻聴かもしれない
それにしても
あれ程のダメージ
を与えたのに


どこへ消えたのだろう


自由詩 蚊ダンス Copyright  2007-05-15 19:01:42
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