子宮内部
チアーヌ

ここはどうも、とても乾いた場所のようだ、
湿度計は40%、まぁ普通みたいだけど、
でも喉が乾く、乾いてしかたない。

明日のことは明日になってから考えよう、
今日はゆるりと流れていく、
サボテンは5ミリくらい成長する、
最近のハエ取り草は鈍感だ、
手で触れても閉じやしない。

新しいテーブルを買ったら知らない人が座っている。
しかたないので、引きずり下ろし、
お菓子とみかんを手に持たせ家の外に出す。
その人は黙ってわたしに頭を下げて歩き出し、
住宅街の角を曲がり、
すぐに見えなくなった。

さあ、
パウンドケーキを作ってあげようね。
ぱしゅ、
ボールめがけてわたしは卵を打ちつける。

知らない双子が両側からわたしの手を握り、
「まま、まま」と縋りつき泣いている。
わたしの卵が割れて、
一卵性双生児が。
ああ、もう産まれそう、
でも、
まだ7ヶ月だから、
もう少し、
このままで。
大丈夫よ、
怖がらないで、どうにか守ってあげるから。
そんなに、泣かないで。

雨の降る午後、
悪阻は重くなる

ここはとても乾くから、
羊水も干上がりそう。
でもどうしてもというのなら、
いいよ、
しかたない。
そこに横になって、
力を抜いて、
目を閉じて。


自由詩 子宮内部 Copyright チアーヌ 2004-05-06 16:15:18
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