いつかの海へ
おるふぇ
君がおばあちゃんになったら
若い頃にデートで
よく行ったあの海に
連れて行ってあげる
あの頃と変わらない
でも何か違う
そんな景色が
二人を迎えてくれるから
遠い異国から
波は届けにやってくる
家族の思い出とか
恋人達の悲しみとか
戦の残酷さや不条理とか
僕らの知らないことを
波は静かに運んでくるよ
まぁ それはそれとして
僕らは何にも考えず
素直に歩いて行こう
波打ち際で手を繋ぎ
砂浜に裸足のまま
二つ不揃いの
足跡をぺたぺたつけて
誰もいない
季節外れの海は
とても静かで
波は穏やかで
僕らはあの日を思い出し
微笑んだりもしてみます
「ここに来て良かったね」
そんなことを話したり
「プリティウーマン」を
口ずさんだり
潮風が髪の毛を乱したら
僕の手で結いてあげるよ
疲れたらぺたり座って
ごろり寝転がっては
即興で詩を詠むのさ
小難しくなく
背伸びもしない
回りくどくなく
何ら気取りのない
ありふれた
まっすぐな詩
「君と生きてきて良かった」
たった一行のシンプルな詩
君がおばあちゃんになったら
僕がおじいちゃんになったら
またあの海に行こうね